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【パラレル親方】その船に飛び乗る準備はできている

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2017年が終わるまでに早くも10日をきっている。イルミネーションとクリスマスソングに浮かれた街は例年に倣って賑やかだ。来たる2018年1月6日、ぼくは25歳を迎える。そして同時に肩書きが無くなる。

9月に退職してから業務委託で請け負ってきた前職WEBメディアの編集職を年内で終了、さらに1月5日いっぱいで現在の自動車工場期間工の契約期間が満了するため、正真正銘の“無職”予定だ。

とはいえ、今後についてのアイデアも勝算もある。今回はぼくの“大切な”25歳を賭けてみようと思っているパラレル親方という企画と個人的な考察について書いていきたい。


▼パラレル親方の概要についてはこちら 

会社は自分を育ててはくれない

ミヒャエル・エンデの『モモ』を読んで確信していることがある。命とは時間のことだ、と。

2016年4月にライターインターンとして参加したスタートアップのWEBメディア。多くのベンチャー企業がそうであるように出入りが激しく、入社後3ヶ月で突然書き手は自分一人となり、自然に編集長の役割を担うことになった。

書き手としてのステージが参加動機だったが、業務の重心は収益化・外部ライターのマネジメントといったビジネス領域へと移った。一つひとつのコンテンツに時間と力を注ぐというよりは、いかにPVを伸ばして媒体価値を高め、収益に繋げられるかというコマーシャルメディアの様相。

そこからは思いもよらない学びも多くあったが、「このままでいいのか」という不安が消えることはなかった。そんな動機を社長に話し、参加の形を正社員から業務委託に変更した。週末は会社のお金で編集・ライター養成講座にまで通わせてもらって、改めて感謝してもしきれない。

毎週代わる代わる登壇される出版・広告・新聞・WEB業界の著名な講師のお話はとても面白く、大切な学びとなった。しかし、100人を超える受講生を相手にする授業形式ではフィードバックが限られ、一人前のライターとして船出できるかと言われれば難しい。 いろんなイベントに参加したり、人のお話も聞いたが、総じて得られる回答は決まっていた。「会社も人を育ててはくれないよ」と。迎える25歳、「若い」と言える時間も限られてきた今、次の一手を真剣に悩んでいた。

 

最短で自分を引き上げる「弟子」という手段

そんな時、なんとなく手に取った山口揚平さんの『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』にあった本文が目から鱗だったので引用したい。

一番大事なのはどこに就職するかではなく、どんな「師匠」を持つかです。まず誰に付いてゆくのか、能力的にも人格的にも心から尊敬できる人を探し出し、なんとか食らいついてゆく。本を読み、メールを書き、セミナーでも講演でもいいですがとにかく会いに行く。そしてゆっくりと距離を縮めてゆく。丁稚奉公をしながら学ぶという昔ながらの方法がもっとも効率良く仕事のスキルを得られる方法なのです。

確かに、創造的な仕事をする人には弟子の時代を過ごしたケースが多い。

 

人が努力で変えられるものは限られている。人間は環境に依存している

ぼくはこれまで「努力」の可能性をひとえに信じてきた。しかし、最近では「人が自力で変えられるものは案外少ないのでは」と考えている。

例えばぼくの大好きなバスケットボールのこと。中学・高校カテゴリのバスケットボール界で優勝旗を独占している県がある。それは「福岡県」だ。さらに一つの学校が決まって強いのではなく、その競争力が恐ろしい。地区大会の決勝がそのまま九州大会の決勝戦で、全国大会でも両校がベスト4に入る、などが毎年のように実現されている。また、他県の強豪校に進学する例も多く、裾野を広げて考えると、もはやバスケットボール界にとって福岡県は「マフィア」なのだ。
現在日本代表として活躍している選手にも福岡県出身の選手が一際多い。

▼福岡県出身のプロバスケットボール選手
比江島慎選手(シーホース三河
・ベンドラメ礼生選手(サンロッカーズ渋谷
・金丸晃輔選手(シーホース三河
(他多数)

これには中学などアンダーカテゴリーに優れた指導者や競争環境が用意されていることが一番の原因なように思う。「当たり前のレベル」が他県と一線を画しているのだ。

あらゆるものごとにもこの構図は当てはまると思っていて、結局人が努力でできることがあるとすれば「十分な考察のもと、自分を引き上げてくれる環境を選び、たどり着けるか」に限られるのではないだろうか。場所や環境が人に与える影響は計り知れない。

パラレル親方応募のきっかけ

ここまで記述してきた思考から、最短で書き手として独り立ちするには弟子になるしかない、そう確信したちょうどそのときに以下の記事が目に入った。

兼ねてよりTwitterで注目していた望月優大さんがスマートニュース株式会社を独立したという内容の記事を12月1日に公表した。望月さんがBAMPで連載している「旅する啓蒙」や、Twitterで紹介される書籍「#望月書房」をインプット源の一つとしていたぼくにとっては願ってもない機会。「動くなら今だ」そう思ってメールを作り始めた。

すると、翌日にはなんと望月さんが親方候補としてパラレル親方に参加するというニュースが入った。フックアップについて望月さんと対談されていた徳谷柿次郎さんが企画しているというのだから間違いない。本気で自分のためのイベントなんじゃないか、そう思いながら急いで、しかし真剣に応募フォームを埋めた。

WEBメディア業界の課題とパラレル親方

TwitterをはじめとしたSNSで回ってくるメディアの記事を読めば、少数の人気ライターが媒体を超えてあらゆるテーマに奔走している様子がわかる。パラレル親方の親方衆はまさに引っ張りだこな存在だ。

上が詰まっていてチャンスが回ってこないという面もあるが、稀有な例を除いて若手にそれを凌ぐ力がないということも事実。多くのWEBメディアが実力者をハンティングはするが、育てることはしない。これによって、仕事はますます現在の人気ライターに集中し、彼らの時代の終わりとともに業界自体が力を失う。つまり、ライターや編集者を育てるということが、当事者である若手ライター・編集者に取っても、大御所にとっても、さらにはWEBメディア業界の生存戦略でもあるのだ。

一対一の師弟という関係ではお互いの負担と期待のバランスをとることは難しいが、弟子をシェアして仕事を振ることができれば、師匠の負担も軽減され、弟子側も書くことで食っていける。まさに願ってもない企画である。

12月19日 パラレル親方キックオフイベントより

イベント会場には80名の応募者から選ばれた約40名の弟子候補が集まった。イベントの内容自体は他の参加者のレポートを参照いただきたい。

【イベント記事】「パラレル親方」の話と、「文化の裾野を広げる」ということ。zonozonoblog.wordpress.com

気になる親方〜イベントに参加してみて〜

▼望月優大さん
パラレル親方に応募しようと思ったきっかけ。上述したように良質なインプット源であると同時に、「スタディクーポン・イニシアティブ」など社会課題をクリエイティブに解決するため精力的に動く姿に大きな可能性を感じている。もしもご一緒できるのであれば、考えるための時間を惜しみなく差し出す予定。

▼モリジュンヤさん
以前からいくつかのメディアで気になっていた存在。実際にお話を伺ってみて、本質を追求する問答にソクラテスのような印象を受けた。思考することを惜しまず、書くことで稼いでいくというやり方がスッと受け入れられた。弟子の岡田さんとのお話も刺激的で、オススメいただいたヨリス・ライエンダイクの『なぜ僕たちは金融街の人びとを嫌うのか?』に読みかかっている。


▼長谷川リョーさん
弟子の小原さんとのやりとりにもっとも親方気質を感じた。企業のインナーコミュニケーションなど、編集・ライティングからの発展、マネタイズのアイデアが豊富で、「ライター・編集者として食って行く」というテーマに対してもっとも現実的な手札を持っている印象を受けて興味を持った。

▼徳谷柿次郎さん
ご自身の経験を「パラレル親方」というクリエイティブな仕組みに落とし込む大胆さに好感を持った。人の移動を促進したい、人は場所や環境に依存するということをテーマにする自分にとって、「移動」を絶やさない徳谷さんの姿勢には全面的に賛同できる。

岩辺智博にできること、そして何を賭けられるかについて

最後に今の自分の能力、betできるものを提示しておきたい。

興味/関心領域

人の移動/宗教/民俗/歴史(地域問わず)/貧困/犯罪/スピリチュアル/映画/本/行動心理学/発達障害/マーケティング/ブランディング

テーマ:人の移動を促進すること 

ポートフォリオ

▼メディア

2016年6月より編集長として、サイト内の全ての記事を編集・確認。中でも特に力を入れた記事をセレクト。

▼人物インタビュー

 

▼企画記事


▼考察記事


▼レポート記事


▼旧個人ブログ(紀行文中心)

何を賭けられるか

・25歳という時間
 →書くこと・読むこと・体験すること・知ることは全て文字化できます。これは仕事であり、趣味であり、人生そのものなので、時間をそのまま差し出すことに抵抗はありません。

・親方のオフィスがある街への引越し
 →1月6日からの住処が未定なので、何処へでも。

・数ヶ月都内で暮らせる資金的余裕
 →「フルで面倒は見られない…」「最初から食わせられるほど仕事を振れない」といった懸念もあるかと思いますが、数ヶ月都内で暮らしていけるだけの貯金はしてきたので案件ごとのお仕事からでも受けたいと考えています。

親方の皆様へ

港でその船を待っています。飛び乗る準備はすでにできていますので。

連絡先:tomohiroiwanabe0106[at]gmail.com