さぐりさぐり、めぐりめぐり

借り物のコトバが増えてきた。

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【抜き書き】ジャックが誰だかわかるはず──『死をポケットに入れて』(ブコウスキー)

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『死をポケットに入れて』(河出文庫チャールズ・ブコウスキー

ベッドに入って部屋の電気を消すのが朝4時。5時間後にけたたましいアラームで飛び起きる。

22時頃に仕事を終えても、夜は長い。

そのタイミングで冷たいビールを飲みたいとは常々思うけれど、自制している。

お酒を飲むと眠たくなったり、気が散漫になって、本が読めなくなるから。

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『パリ・ロンドン放浪記』ーー光の側からは見えない貧しさに言葉を充てがう

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キエフの中央駅にほど近く、通りから見ると半地下になった安いアラブ料理の食堂で何時間もチャイを片手に『パリ・ロンドン放浪記』(岩波文庫)を読んでいた。『一九八四年』(ハヤカワepi文庫)『動物農場』(角川文庫)で知られるイギリスの文豪ジョージ・オーウェルが若き日に身を置いた底辺生活のルポルタージュである。

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『テロルの決算』と人の眼差しーー傲慢な解釈を嫌悪する

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人が人に向ける眼差しはときにほとんど信用できない。対象の属性と論客気取った思考主の妙に自信満々な想像力で為される粗い解釈は、一人の人間をあえて要素にまで解体したりはしない。

沢木耕太郎の著書に『テロルの決算』(文春文庫)がある。沢木耕太郎といえば、一般的に『深夜特急』(新潮文庫)を筆頭とした紀行文作家としてのイメージが持たれる。

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異邦人になることの恐れ

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Photo by Andre Benz on Unsplash

金曜22時半、中央線高尾行の中央特快は東京駅を発った。これから始まる休日のため幾分か騒々しい車内。開閉するドア部分に体重を委ねながら丸ノ内・神田辺りのオフィスビルをボーッと眺めている。

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変えられるもの、変えられないもの

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よく「広い世界、宇宙のことを考えたら自分の悩みなんてちっぽけだ」みたいなことが言われる。個人的には、これには一度も納得できたことがない。

言わんとしていることは分からなくもないけど、そんな神みたいに俯瞰した視点は持ち合わせてないし、それどころか自分は自分の悩みとか自意識にいつも内側から圧迫されて破裂しそうになるよ。

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『言葉の流星群』とイーハトーヴォの旅

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「ケンジさんのお家の見学ですか?」

突き抜ける青空で雪原がまぶしい201815日の北上平野。東北本線花巻空港駅で降りて、東へまっすぐ歩いていく。南北へまっすぐ伸びた国道4号線を渡ると低いフェンス越し、わずかにそれが滑走路だと確認できる。そのうち真っ赤な機体が頭上を通って着陸する。15分も歩いただろうか、滑走路の隣にあるのが花巻農業高等学校だ。まだ冬休み期間ではあるはずだが、体操着の少年少女が息を切らして走っている。

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